N”p徒~♪”*2

↑タイトルは文字化けではありません(笑)。単車、クルマ、工具などいろいろ。・・・・そして、ときどき"Perfume"。過去の記事へのコメントも歓迎致します。

接点のグリース

 疫病による災禍が吹き荒れる浮世の荒波のなか、
皆様如何お過ごしでしょうか?
私も二週間ほど家に籠もることを強いられる状態に陥りました・・・。
あ・・・新型コロナとは全く関係無く、
肉離れだったんですけど・・・・(大汗)。

 新型コロナ関連では、
私もイロイロと言いたいことがあります!
がぁ、ココはそぉ~ゆぅ~のは書かないと決めているので控えます・・・。
でも、ひとつだけ言わせてもらうと、
最終的には、自分の身は自分で守ることを決めなければならない・・・・
って、ことですよねぇ。


 巷では自宅で過ごさなければ非国民と呼ばれ、
外出しようものなら後ろ指を指され、
糾弾される状況が続いています。
何時、終息を迎えるか分からない不透明な日々に、
皆さん、お家でヒマしているとの声を多く耳にします。
が、私は全然ヒマではありません。
いえいえ、仕事が忙しいとかではなく、
やりたいコト、やらなけばならないコトが山積しているからです(笑)。
ブログも書きたいことが尽きません。
しかし、異常な遅筆(PCなので”遅打”?)なので、
なかなか捗りません。
私にネタ切れは有りえません(笑)。

 そんな外出自粛を強いられるゴールデンウィーク
以前からやってみたかった
『お家で出来る実験(って、ほど大袈裟ぢゃないけど)をやってみました。

 皆さんは単車、クルマのコネクターの端子に何か塗っていますか?
私は常々、これが気になっていました。
ウチの愛機たちはどれもなかなかの大古車です(笑)。
補器(機)類の経年劣化は勿論ですが、
それらに電源を供給する配線にも気を配るべきではないのかと、
考えさせられるお年頃なのです。
以前、[TL1000S]と[パンダ]で電気関係の不具合があって調査してみると、
ネクターの抵抗値がけっこうな”電流通さない度”だったのです。
ひとつならまだしも、
配線中でその幾つもが合成されると、
その先にある機器の動作電圧達しないほどになる事もあります。
それらが見て錆ているような状態なら目視点検で分かりますが、
一見、問題が無いように見えても、
導通不良になっていることが多々ありました・・・。

 配線中のコネクターを全部点検するのは大変です。
なので、せめて作業中に分解した箇所だけでも序でになんとかしてあげたい。
それが積み重なれば、
ウチの大古車たちもちょっとは動作が安定するのではないかと思います。

 

 

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 で、思いつくのが王道の接点グリース。
私が使ってるのは[パーマテックス/Dielectric Grease]。
しかし、このグリースは、
誤解している方も多いと思いますがぁ、
電流を通さない性質です。

 接点グリースと聞くと、
導電体のような印象を受けます。
が、”Dielectric (←”絶縁体”の意)Grease”の名前が示すとおり、
このグリース自体は絶縁物なので電流を通しません。
何故に接点に絶縁体を使うのか?
それは、このグリースの主目的が接点の腐食防止と、
漏電/迷走電流を防ぐ事だから。
これは、名前のとおり主に”接点”に使うグリースなのです(端子にも使用可能)。
接点とは電流を断続するリレーやSWの接点です。
このような接点に導電体のグリースを使うと、
イロイロと悪さをしそうです。
塗布した当初は良いかもしれませんが、
時間が経つにつれて微細なグリース飛沫が飛び散り、
接点間の絶縁不良を誘発するかも知れません。
そぉ~言えば、
以前、電気接点の整備をしていた若かりし頃、
接点を磨いたあとにワセリン(絶縁体)を塗っていたっけなぁ~(遠い目)。
絶縁体のグリースでも薄い塗膜なら接点を構成する際には問題にはなりません。
接点間の僅かな抵抗よりも、
端子の腐食防止と、
接点解放時のアークの抑制や、
漏電防止に重きを置いているから絶縁体を採用しているのでしょう・・・・多分。

 が、それは電流を断続する”接点”でのはなし。
私が使いたいのはコネクターの端子部分です。
現在のクルマや単車では接点を拝めるのは極僅か
(ウインカー、ホーンのSWくらい)。
端子同士が接触すれば導通があったとしても、
そこに絶縁体は介在して欲しくない。
出来ればその隙間を導電体で埋めて接触面積を増やし、
導通を安定させてやりたい。

 

 

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 で、見つけたのがこれです。
[キタコ/カーボングリス]です。

 このチューブの裏面の表示を見ると、
「導電性グリス」との表示があり、
成分表示欄には「~、黒鉛添加剤、微粒子カーボン(40nm以下)」とあります。
黒鉛、カーボンは炭素のこと(黒鉛は加熱した状態)。
如何にも導電性が良さそうです。
ちょう度は2号との表示がありますが、
もちょっと硬い印象。

 で、これを入手したので、
これを機会に前記の前述の『お家で出来る実験』
してみることにしました。

 

 

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 それは、
導通部に塗れると用途を謳っている製品の導通確認と、
抵抗値を実測してみることです。
「なぁ~んだ、そんなコト?」って、
思われる方が多いと思われますがぁ、
前からやってみたかったんですよねぇ(笑)。

 市場にはイロイロとそれようの製品が出回っていますが、
全部調査することは出来ません。
なので、ウチにあった写真のものを測定してみることにします。

 

 

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 今回、試験に供される製品をご紹介します。

 左は有名な英国[モリースリップ]社の[コパスリップ]です。
名前とチューブの色合いからも分かるとおり銅粉入りのグリースです。
耐熱温度は-40℃~1100℃。
中身は如何にも「電流通しますっ!」って感じの銅色。
私は普段、バッテリーの端子に使用しています。
ウチにあるのは旧い意匠のようで、
現在流通しているものとは違っています。

 右もこれまた有名な、
米国[パーマテックス]社の[アンチシーズ]。
耐熱温度は-53.88~1092℃。
これも如何にも通電しそうなぎらぎらの内容物が詰まっていています。
金属粒子入りのものは耐熱温度が高いですね
(この製品の耐熱温度はネットでは様々な数値が入り乱れていたのですが、
手持ちのものの説明文の華氏表示を摂氏に変換してみました。)。
なかのぎらぎらはアルミだと思ったのですが、
説明書きを見ると「銅、グラファイト(炭素系鉱物)」となっていました。
私はスパークプラグのねじ部分に使用。

 

 

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 これも単車/クルマをいじるひとなら持っていることが多い、
[ワコーズ/スレッドコンパウンド]です、
これは導通部分の使用は謳ってはいませんが、
金属粒子入り(説明では「微粒金属粒子」と書いてあるが、色から見て銅系?)
なので参加させてみました。
私は整備のときに締め付ける殆どのねじ部分に使用。
・・・普通ですね(笑)。

 

 

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 [ナノテック・システムズ/シルバー・コンタクト・ペン]。
名前のとおり銀が含有された製品。
使用すると酸化皮膜を除去し、
電気抵抗の少ない銀のナノ粒子が電気接点にコーティングされ、
新品時よりも電気抵抗を軽減できるらしです。
「電気接点復活剤を上回る今までにない電気接点導通改質剤」らしいです。

 実際に端子に塗ってみると、
ペン先のような先端部から極少量の銀粒子が入った液体が塗布されます。
しかし、少量すぎて濡れてんだかどぉ~だか分かんないほど。
試しに白い紙に塗ってみると、
銀粒子が入った油(?)が付くので塗れてるのだと分かります。
私の性格的に、
濡れてんだかどぉ~だか分からないところがどぉ~にも・・・(苦笑)。
しかし、端子部分なんてこのくらいが最適なんでしょうねぇ。
この製品はオーディオ関係では高評価が散見できます。
がぁ、単車/クルマに使った感想は・・・、
よく分かりませんでした・・・(苦笑)。
しかし、ガリ音が出ていたディジタル・オーディオのジャックに塗ったとことろ、
その症状が改善。
全く異音が出なくなりました。
これ、イイのかも知れない(笑)。

 

 

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 で、試験したのがこの方法。
紙に約10mmほど各製品を塗りつけ、
テスターで導通を見るというもの。
単純でしょ(笑)。

 

 

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 が、がぁ、そのどれもに導通がありません・・・・(汗)。
[Dielectric Grease]は導通が無くても当然だと思うのですが、
他の5つも全てが同じ結果でした・・・・。

 

 

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 なので、抵抗値を測ってみましたが、
[Dielectric Grease]、[コパスリップ]、[アンチシーズ]、[スレッドコンパウンド]、
[シルバー・コンタクト・ペン]が写真のように無限大でした。

 

 

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 どきどきしながら最後の[カーボングリス]を測定。
すると・・・・・。

 

 

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 出たっ!
けど、高っ!

 

 

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 今度は容器に測定子を直接突っ込んで測定(笑)。

 

 

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 さっきよりは低いけど、
0.534[kΩ]=534[Ω]ですからねぇ・・・。

 

 

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 同様に容器に測定子を直接突っ込むと低い値を示すものがっ!

 

 

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 [アンチシーズ]です!
これって、導通性がイイんだなぁ!
と、思ってよぉ~く見たらば容器(アルミ製)に接触していました・・・(恥)。

 

 

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 容器の口が小さい[Dielectric Grease]は、
写真のようにちょっと出して測定。
アルミ製の容器に触れないように注意して測定(笑)。
やっぱ、導通はありませんでした。
当たり前ですね・・・・。

 

 

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 結果は[カーボングリス]以外は導通が確認出来ませんでした(高抵抗だけど)。
他の導電体の金属微粒子が含まれたグリースでも、
それを繋ぎ止めている増ちょう剤には伝導性がないため、
単体で測定しても導通が確認出来なかったんだと思います(多分)。
それらも端子間で圧接されると微細な隙間を埋めて導通が改善されるんだと
思います・・・・(これも推測)。

 明らかに単体で導通があるグリースを見掛けることは少ないですが、
その理由は、端子間のみに介在すれば有効ですが、
他の部分に付いたり、飛び散ることで絶縁状態が保てなくなる危険性が大きいから
なのではないでしょうか??
この結果から、
●金属中でもっとも導電性が良い銀を含有。
●端子部分の酸化皮膜を除去する機能があり。
●構造上、極少量しか塗布することが出来ないので飛び散る可能性が低い。
の特性から[シルバーコンタクトペン]がいちばん有効そうです。

 しかしぃ、多くの端子は導電率の面からいうと、
あまり良い材質からは造られてはいません・・・・。
その殆どは真鍮(黄銅)製で、
鉄よりはマシですが(銅よりは悪い)、
殆どの製品が表面に錫鍍金がほどこされています。
電流は伝わる物質の表面を流れます。
錫はsusよりは良いが鉄よりも悪いものなのです・・・。
電流の通し難い材質の上に導通性最良の銀を塗ってもねぇ・・・・。

 あと、金属同士は電触の危険性も懸念されます。
端子表面の錫と、銅([コパスリップ])は電位差が少ないですが、
銀([シルバー・コンタクト・ペン])や、
黒鉛([カーボングリス])はその差が大きいです・・・。

 イロイロと考えてると、
ナンともワケが分からなくなってきてしまいました・・・・(汗)。
とりあえず端子間は、
[シルバー・コンタクト・ペン]と[カーボングリス]を適宜使い分け、
接点には[Dielectric Grease]を使い分けようかと思います。