私、工具が好きなんで、
使わない工具もいろいろ所有しています。
本当は、工具は使ってこそ生きるもの!
・・・だとは承知はしているのですがぁ、
しかし、工具そのもの自体の魅力に取り憑かれ、
何時しか狭い我が家を不必要な工具に占拠されてしまっています・・・(汗)。
工具が好きとは言ってもいろいろなひとがいます。
クルマが好きなひとでも、
アメ車好き、イタ車好き、ドイツ車好きと、
多種多様な嗜好の方向性がありますが、
工具も同様です。
私は特にドイツ製の工具に魅力を感じています。
そのなかでもレンチは[スタビレー]のものがいちばんの好みです。
日本では一部の方以外には馴染みのない[スタビレー]ですが、
その綴りは写真の箱の表記のとおり[STAHLWILLE]となります。
[STAHLWILLE]の語源とは(工具好きには耳タコですが・・・)、
古高ドイツ語(古いドイツ語)で、
”鋼/鋼鉄”を表す”STAHL(元の意味は”硬い”)”と、
創始者の[Eduard Wille]氏の名前を合わせたものです。
ドイツ中西部ルール(Ruhrgebiet)地方の
ヴッパータール (Wuppertal)に1862年発祥した歴史ある会社です。
元々は鉄道関係の工具生産のために興った会社のようですが、
早い時期から多方面対応の品揃えを誇っていたようであります。
日本への輸入元は、
有名どころ([喜一工具])なうえ、
素晴らしい出来の工具を取り揃えているのですが、
いまひとつ一般的にならないのは、
その読み難い名前にあると思います。
あと、知名度が低いのに価格が高目なのもその理由と考えられます
(内容を知れば高くはないんですが・・・)。
[スタビレー]のレンチがお気に入りなのですが、
その後、長くラチェットには触れたことがありませんでした。
レンチがあんなに良いんだからラチェットも気になるぢゃないですかぁ!
・・・そんなある日、
某店で捨て値で売られている写真の入組み([No.45/11/5])を発見!
現在ではあまり目にしない樹脂製の箱に収納されていますし、
今とは違う旧来の字体です。
「これは買わなきゃダメでしょう・・・!」
って、ことで、ウチにやってきたのが10年ちょっと前でしょうか?
内容はこんな感じです。
一般的な整備には不足の無い入組です。
この箱を手に取り、
箱を開いて先ず感じたのは、
「か、硬いっ・・・・!」ってことです(苦笑)。
開けるのにとっても難儀します・・・。
ま、不用意に開かないとも言えますが、
もちょっと簡単に開いてもイイのかなぁ~、
と、感じます。
「そういう柔な輩は独工具を手に取るんぢゃ~ねぇっ!」
って、コトぉ?
この入組みは、
現在のものの二世代前です。
現在のコーポレートカラー(CC)を鏤めた色鮮やかな仕様よりも、
私はこちらの方が好みですねぇ。
ボックスソケットの鍍金の風合いは、
レンチと同様の嫋やかで美しい仕上がり♥
単体での手回しがし易いようにローレットが切ってあります。
写真は入組み中最大の22mmと8mmです。
ドイツ工具はガタが大き目になり勝ちな
ボックス部の面接触化には慎重で、
他国の工具会社よりも後年まで線接触を貫いておりました。
しかし、このボックス部は既に面接触化が完了しています。
ボルトを挿入してみてのガタは、
現代の目で見ても、
ごく一般的な部類であります。
3/8sqの差し込み部はこんな感じ。
安価なモノや、古い工具だとsqのボールの受けが無いものもありますが、
これはちゃんとあります(同社の1/4sqには無いが・・・)。
私が愛用の主力ボックスソケットである[KTC]の旧型との比較です。
恐らく同時代の製品(だったと思います?)ですが、
[スタビレー]の方がかなり背が低い仕上がりです
(同社1/4sqはDIN規格のせいで背が高いがぁ・・・)。
ボックスソケットの入組みには必ず含まれている
ユニヴァーサルジョイントですが、
[スタビレー]のものは単体だと恐らくかなり高価だと思います・・・。
以前、同社のユニヴァーサルソケットに憧れて、
セットでの購入を検討したことがあったのですが、
あまりの高さに断念したことがあります・・・・。
接続部はかしめではないので、
振れ具合を調整出来る仕様です。
これを見ていて気がついたことがあります。
3/8sq部の付け根部分に一回り大きなsq(■)がぁ・・・・。
これって1/2sq(12.7mm)と共用部品なの??
最後は主役たるハンドル([435])です。
工作機械のハンドルを思わせる渋い仕上がりが素敵♥
使用時には、前後のくびれにそれぞれ人差し指と小指を絡ませると良い感じ。
しかし、握りそのものの長さは短め。
ドイツ人は大きな方が多いのに、
私の小さな手でも短めに感じる長さ設定はちょっと意外。
私はラチェットハンドルの柄は、
樹脂仕様のものは好みではないのですが
(同社ではその仕様も存在。実物を見たことは無いケド)、
それも良いかなぁ~と思わせる仕上がりです。
ドイツは寒冷地が多いので、
寒さ対策で樹脂柄が多いと聞いたことがありますが、
本当なのでしょうか??
現在のものにもある、
内部のラチェット機構のばね穴を真っ直ぐ開けるための穴を塞いだ跡も
このころから有ります。
sq部の先端は面取りが大きめです。
ボックスへの挿入が円滑に差し込まれるようにとの心遣いです。
・・・・がぁ、一度挿入したら抜けないんです!
その硬さは、”軽圧入”かと思う程・・・(大汗)。
これでは作業性が悪過ぎです。
不用意に抜けないとかその程度ではありません!
個体差なのでしょうか??
抜くのには樹脂製のへらでこじって外したほどです(苦笑)。
やっぱり、「軟弱モノはぁ、独工具を使うなっ!!」って、
ことぉ?
その他、長/短エクステンション・バーと、
それらと併せてT型ハンドル仕様として使えるハンドルも付属。
このハンドルはsq部が移動出来るのですが、
ここも”軟弱モノである私には硬いです・・・・。
ドイツ工具のもうひとつの雄である[ハゼット(8816-P)]と比較してみました。
これも現行品ではありません(こちらも現行品はCCで色鮮やか)。
これはハンドル単体でしか所有しておりません・・・・。
長さは[ハゼット]の方がやや長いですがほぼ同じ。
頭の高さは[ハゼット(以下”H”)]=15.3mm、[スタビレー(以下”S”)]=14.7mmと、
使用には殆ど差が表れない程の違い。
裏蓋は[S]が打ち抜いたままですが、
[H]は蓋も本体も鍛造後に機械加工されています。
切り替えレバー側も同様で、
その上、[H]は磨いた後、鍍金されていて手間(お金)が掛かっています。
送り角は両方とも12°(30歯)と同じですが、
空転の感覚、レバーの切り替えとも[H]の方が上質さを感じさせます。
長年、内部に注油されていないので、
脂を注せば、もちょっと印象は変わると思いますが、
それでも[H]の方がより良さそうです。
見た目の好みは[S]ですが、
握った感じは[H]が良い印象。
[H]の社名の下には”W-GERMANY(西ドイツ)”の文字が見られます。
この後、同仕様で”W-”が無いものになりました。
私がラチェットハンドルで重要視するのは3点。
1/空転の感触と、2/ハンドルの握り心地と、3/重量配分です。
重量配分も[H]が好みですねぇ。
[S]は軽量に仕上がっていますが不均衡に感じます。